最後の夜
場所は
ゆうきの家の近くの公園
しっとりとした夜の中
ささやかな風が
ささやかに木々を揺らす
ゆうきが公園の水飲み場で水を飲んでいると
小野さんがやってきた
ゆうきが手を振って言った
ゆうき「よう!小野ちゃん!
こんな夜にどうしたんだい?」
小野さんははにかんだ笑顔で
ゆうきに挨拶した
そして
二人はベンチに座った
空には満点の星空が浮かんでいる
ゆうきが缶ジュースを飲みながら言った
ゆうき「で?話しってなんだい?
ん?おじさんに言ってごらん?」
小野さんは手を握りしめて言った
小野「私、、アメリカに行くんです、、、」
ゆうきはようようと言った
ゆうき「そーかそーかアメリカねー!
こりゃまたずいぶん遠い所に、、、え?、、
アメリカ!!??」
小野「はい、、、」
ゆうきは驚いた様子で小野さんを見た
ゆうき「アメリカって、、そりゃまた何で?」
小野さんは少し体を揺らしながら言った
小野「父が仕事の関係でアメリカに引っ越す事になったんです」
ゆうきは小野ちゃんの肩を持って言った
ゆうき「で?、、い、、いつ行くの?」
小野さんは言いづらそうに言った
小野「それが、、、明日なんです、、」
ゆうきはのうのうと言った
ゆうき「へー明日かー!
そりゃまたずいぶん急だね、、って
え?、、明日!!!??」
小野「はい、、」
ゆうきは不思議そうな顔で小野さんを見た
ゆうき「なんでまた急に?」
小野さんは弱々しい声で喋り出した
小野「アメリカに引っ越すのはずいぶん前から決まってたんですけど
ゆうき君に言おうかどうかって、、悩んでて、、」
ゆうきが言った
ゆうき「なんで?言ってくれればいいのに」
小野さんは恥ずかしそうに言った
小野「でも、、それを言っちゃうと
なんだかお互いにそれを気にしながら付き合っちゃいそうで
それなら言わないでいた方が自然におつき合いできそうな気がして」
ゆうきは頭の後ろで手を組んで言った
ゆうき「そうかー」
二人は星空を見つめた
そして
ゆうきがポソっとつぶやいた
ゆうき「じゃあ、今日が最後の夜って事か、、」
小野「はい、、」
ゆうきがパシッと手を叩いて言った
ゆうき「そうだ!!今から飯でも食いにいかねーか!?」
小野「え?」
場所は
神奈川県
横浜
ゆうきと小野さんは
海沿いの高層ビルの最上階にある
高級レストランにいた
窓際の席から100万ドルの夜景が
海の揺らめきに輝いている
二人は
綺麗な夜景をバックに
ワイングラスで乾杯した
チーン
ゆうき「君の瞳に、、乾杯」
小野さんは照れ笑いをした
そして
女の子らしく
ちょびっとワインを一口だけ飲んだ
ゆうきはグビグビとワインを飲み干した
そして
ぶーーーー!!!
と
吐き出した
ゆうき「ぐえ!!なんだこのジュース!?」
小野さんは笑いながら言った
小野「ゆうき君お酒飲まないんですか?」
ゆうきは口を拭きながら言った
ゆうき「オレ酒なんて飲めねーよ(笑)
なんだこれジュースかと思ったらちげーのかよ(笑)」
小野さんは楽しそうに笑った
そして
瞳をキラキラ輝かせながら
夜景をバックにめっちゃかわいい顔で
ゆうきを見て言った
小野「でも、こんな高そうな所に来ちゃって
本当にいいんですか?」
ゆうきは店員にジュースを頼んで言った
ゆうき「聞いて驚くなよ?
宝くじで大当たりしちゃってよ!!(笑)」
ゆうきは超うれしそうだった
そんな無邪気なゆうきを見るのが
小野さんは好きだった
高級レストランの店員が
綺麗なスーツ姿で歩いてきて
二人の水をつぎたした
店員はエレガントにおじぎして去っていった
ゆうきが水をガブガブ飲んで言った
ゆうき「ところでさ、小野ちゃんの名前ってなんて言うの?」
小野さんは少し恥ずかしそうに言った
小野「あ、まどかって言います」
ゆうきは驚いた顔をした
ゆうき「まどか!?」
小野「はい(笑)」
ゆうきは笑いながら言った
ゆうき「なんだ、あのおこりんぼうのまどかちゃんと一緒の名前か!(笑)
なんだ同じなまえでもずいぶん違うもんだな!」
小野さんは笑顔で言った
小野「でも、まどかさんってすごくイイ人ですよね?」
ゆうきが大声で言った
ゆうき「そうかー!?なんで?喋った事あるの?」
小野さんはかわいらしく
ステーキを小さく切りながら言った
小野「はい、一度相談にのってもらった事があるんです」
ゆうきはステーキをガチャガチャと切りながら言った
ゆうき「なんだあいつ人の相談なんてできんのか?(笑)」
小野さんはかわいく一口ステーキを食べて言った
小野「はい、優しく元気づけてくれましたよ?」
ゆうきはステーキをむしゃむしゃ食べながら言った
ゆうき「へー!!あのわがままな女がねー!?」
小野「そんな事ないですよ(笑)」
ゆうきは水を飲んで言った
ゆうき「で、なんの相談したの?」
小野さんは少し言いづらそうに言った
小野「あの、、ゆうき君の事を、、(笑)」
ゆうきは無邪気に言った
ゆうき「オレのこと!?で、なんて言ってた?」
小野さんは笑いながら言った
小野「あいついつもあんな感じだから気にしない方がいいよって(笑)」
ゆうきはへって感じで言った
ゆうき「なーんだよあいつだっていつもあんな感じじゃねーか!
人の事いえるかよ?」
そう言って
ゆうきは窓の外を見た
綺麗な100万ドルの夜景とともに
窓にべったり鈴木が張り付いている
ゆうき「うわ!!!」
小野「あ!!」
鈴木は高層ビルの最上階の窓の外側に
スパイダーマンのかっこうで張り付いていた
ゆうき「す、、鈴木!!
なにやってんだこいつ!!」
店の他の客も鈴木を見て
ざわざわと騒ぎだした
店の店員が鈴木に気付き
あわてて走って店長のところへ行き
店中の店員がバタバタと走りながら
大騒ぎしている
鈴木はグッドラックのポーズをしながら
ビルの壁をすすすっと登っていった
そして
次の日
場所は成田空港
小野さんは家族で空港のエスカレーターの前にたっている
小野さんの母が言った
小野さんの母「じゃあ、まどか、私達さきに下におりてるからね」
小野「うん、」
小野さんの家族はゆうきにおじぎすると
エスカレーターで下におりていった
小野さんがゆうきを見ていった
小野「本当にありがとうございました
ゆうき君の事はずっと忘れません」
小野さんは感動の涙を流した
ゆうきは小野さんに手をふった
ゆうき「ああ!オレも忘れねーよ!
またいつか会おうな!!」
小野さんは嬉し涙をこらえながら
手を振った
ゆうきも小野さんに手を振った
そして
小野さんはゆうきの方を見ながら
エスカレーターに乗って
おりていった
すぐ横のベンチで帽子を深くかぶっていた男が
すっと立ち上がって
ゆうきの肩を叩いた
みのるだった
ゆうきは驚いて言った
ゆうき「お!?なんだみのるじゃねーか!?
何やってんだよ!?」
みのるは涙を流しながらいった
みのる「うう、、おまえ、、こんなドラマチックな役やりやがって、、、
い、、、一発殴っていいか?、、」
ゆうきが怒って言った
ゆうき「ばかやろー!!てめー何人の後つけてきてんだよ!?
探偵ごっこかこのやろう!!」
すると
後ろから鈴木が歩いてきて
ゆうきの肩にポンと手を乗せた
鈴木「さ、飲みに行くぞ」
ゆうき「あ!?なんだおめーも一緒かよ!?
なんだよおまえら二人してオレの偵察か!?」
みのるが涙を流しながら言った
みのる「うう、、もういいんだ、、、
今夜はとことん飲もうぜ、、」
ゆうきが二人を見ながら言った
ゆうき「今夜ってまだ朝の10時だろーが!!
それにおまえも酒飲めねーだろ!!」
鈴木が冷静に言った
鈴木「さ、行くぞ」
ゆうきが二人を見ながら言った
ゆうき「おいおい!なんなんだよおまえら!!
のぞき屋イチか!?」
みのる「殺し屋イチだろ?」
鈴木「さ、ゴチャゴチャ言わねーでさっさと行くぞ」
ゆうき「うるせー!!こののぞき魔が!!」
そうして
3人はワイワイと騒ぎながら
成田空港の中を歩いて
カレー屋さんへと向かった
いやはや
なぜかロマンチックな役をやってしまったゆうき
相変わらず最近出番が少ないとなげくみのる
さてさて
また明日から高校生活が始まる
そんなこんなの
小野さんとゆうきの
ちょっとセンチなラブコメでした
めでたしめでたし(笑)
つづく(笑)
NEXT
BACK